ライティング・スローガン(2) ゲームライターになるには?


前回、とっても夢のない話を突きつけてしまったので、今回は「ゲームライターになるには」の話をちゃんとやっておきたいと思います。ゲームライターという仕事に就くにはどんな方法があるか、具体的にお話しします。

まず最も真っ当な方法としては、メディアが公募しているライター募集に応募することです。雑誌であれば、最後の方のページで募集告知が掲載されていることが多いです。常時募集しているかどうかは媒体次第なので、いろんな雑誌を見て募集がないかをチェックするのがいいです。場合によってはライターではなく編集者を募集していることもあるので、ライターにこだわらないならそちらに応募するのもありです。

WEBメディアの場合、稀にライター募集を行う媒体もありますが、あまり見かけたことはありません。しかしライターが不要というわけではありません。多くのWEBメディアは紙の雑誌に比べて少人数で運営されている上、毎日毎時が締め切りというべきニュースを扱うものが多いので、大々的に募集をかけて人を選ぶような余裕がない、というのが実状だと思います。

とはいえ、フリーランスの方からの売り込みはあります。他業種でライター経験がある方が、ゲーム業界でもライティングをしてみたいと思い、仕事はありませんか、こんな企画はどうですかとメールなどで売り込んでくるのです。その経歴や実績によっては、仕事が見つかることもあります。

さて、これからゲームライターになろうという方には、困ったことに経歴も実績もありません。雑誌のライターや編集者の募集に応募しても、書類審査で落とされることもあるでしょう。私も全くの未経験者の時、2誌ほどゲーム雑誌に編集・ライターで応募したことがありますが、いずれも書類審査で落とされました。またWEBメディアでも、いきなり編集部に「ライターやらせてください」とメールを送りつけても、そう簡単に仕事をくれたりはしないでしょう。

ではどうするのか。おそらく一番の近道は、とにかく編集部に潜り込むことです。編集者でもライターでもなく、アルバイトやアシスタントといった形で、編集部が人を募集していることがあります。これらは特に経験を必要としないはずです。そして編集部に入りさえすれば、嫌でも編集者と顔を合わせることになります。編集者とのコネができ、自分はライターをやりたいんだという意思を見せられれば、遠からずチャンスは見つかるのではないかと思います。

そしてもう1つ大切なことは、ゲームのレビューなり攻略なりを自分で書いてみることです。ただやりたいと言っていても、これまで何一つ生み出していない人は評価のしようがありません。できあがった作品があって初めて、編集者は評価ができるのです。逆に言えば、作品がありさえすれば、それを弾にして攻め込む資格が得られるのです。

もしゲームライターになりたいという人がいるなら、何でもいいから編集部に潜り込む方法を見つけてください(犯罪的な行為ではなく)。そして、自分なりの記事を書いてみてください。今の時代は誰でもブログを開設できますから、自分の実力を示せる場所は簡単に手に入ります。

あとは知り合いに編集者やライターのツテがある方。あなたはラッキーです。そのツテを大事にして、自分の作品を突きつけてみてください。

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……以下、私の実体験です。きっと何の参考にもならないので、忙しい方はスルーしてください。

今回の話は、書かねばならない話とはいえ、私にとっては大変話しづらいものでした。というのも、私がライターを始めた経緯がかなり特殊だからです。

話は大学生の頃に遡ります。当時の私は、ゲーセンにあった「電脳戦機バーチャロン」という対戦アクションゲームにハマっていました。当時は金沢に住んでいて、学生街にあったゲーセンではトッププレーヤーでした。しかし都会にはもっと強い奴らがいっぱいいるのも知っていました。

彼らに追いついて勝ちたい。そう思った私は、当時流行し始めていたインターネットで、「電脳戦機バーチャロン」のホームページを作りました。そこにBBSを用意し、知る限りの「電脳戦機バーチャロン」のホームページを持つ人に、このBBSへの直リンクを付けて欲しいと呼びかけました。この「共有掲示板」のアイデアは見事に成功し、私のホームページのBBSに日本中のプレーヤーが集まり、日々熱い議論を繰り広げました。私も日本中のトッププレーヤーから、さまざまな技術やアイデアをもらえました。

その結果、私のホームページは「電脳戦機バーチャロン」のファンサイトでは最大級のものになりました。これに、とあるゲーム雑誌のライターが目をつけ、ホームページを雑誌で紹介させてほしいと連絡してきました。断る理由もなく、喜んで承諾しました。その後、そのライターさんは攻略本の制作にも携わり、その際には私の知るテクニックやアイデアを提供しました。

ちなみにそのホームページは、今でも存在しています。ただ「共有掲示板」は、2ちゃんねるなどの匿名掲示板の登場により役割を終える形となりました。

それから数年。大学を卒業し、ある会社に就職したものの1年ほどで退職した私は、物書きの道に進もうと決めました。在学中も就職後も、さまざまなゲームのホームページを作っていたので、書くというのが性に合うと思ったのです。

この頃、とあるオンラインゲームでゲームライターさん(先述とは別の方)と知り合っていた私は、ゲームのレビューを書いて、その方に見てもらうことにしました。その時に添削を受けて直したものがこちら

そしてこれを弾にして、数年前に知り合ったライターさんに声をかけました。幸い、連絡先がまだ生きていたので話をしてみると、今は別の会社で編集者をやっているということでした。早速、先の原稿を見てもらい、何か仕事はないかと尋ねたところ、ちょうど攻略記事で人が抜けて困っていたところだったそうで、早速仕事をもらえることになりました。その時の仕事はこれ。まだ原稿は書かせてもらえず、データ出しの裏方でした。

しかしそれから2カ月も経たないうちに、プレイステーション 2用の新作「電脳戦機バーチャロン マーズ」が発売されます。この攻略記事が、私に任されました。アーケード版をベースに作られているので知識もありましたが、いわばド素人に丸々任せてもらえたというのは、人とタイミングが実に幸運なめぐり合わせでした。その攻略記事がこれ

それからいくつかレビュー記事などを担当した後、半年ほど経った頃に、編集部に急遽欠員が出ました。急ぎ補充人員が欲しいということになり、私が入ることになりました。以後、そこで8年ほど記者・編集者として勤め、先日退職してフリーランスになった、という流れです。

我ながら、実に幸運の連続でした。これを今からもう一度やれと言われても、多分できません。お世話になったおふたりに、ただただ感謝するばかりです。

ただ1つ言えることは、ずっとホームページを作り続けてきた意味は確実にあったということです。「バーチャロン」の出会いもホームページを作っていなければなかったですし、原稿を添削していただいたライターさんにも、見てもらえるタイミングで原稿を準備できたからこそ実現したものです。それ以外にも、「Tanarus」というオンライン戦車ゲームでは、ホームページで長大な攻略を書いていて、これもライターさんに評価してもらえる一因になりました。

何かをしたいなら、怖気ずくことなくできることを全てやる。評価されたいなら、評価してもらえるものを作る。私はそれで道が開けたので、まずはやってみましょう。……という無責任なことしか言えないわけです。ホントすいません。

それじゃあ評価される文章ってのはどう書いたらいいんだよ! と思われるでしょう。これは実に簡単な練習法がありますので、次回はそれをご紹介したいと思います。

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