Tactical Manual for Tanarus No.403
カバーについて・基本編

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 ここでは、集団戦闘ならではの技術である、カバーについての解説と考察をしていきます。味方を直接守るこの技術は、信頼できるプレイヤーとなるためには必須といえるテクニックです。以前はこの項を「集中」の項と一緒に載せていましたが、レベル的にこちらの方が高度であり、また考察をする余地も多く残されているので、これだけを一つの項としてまとめたいと思います。


・カバー
 集中という攻撃方法に対して、こちらは防御の方法です。上で述べたように、集中を受けるとすぐにシールドがはがされてしまい、シールドの回復がほとんど望めません。また、ダメージを受けていない戦車は何の回復もしないので、ダメージがないために回復できないという無駄が発生します。上の絵図で見たとおり、ダメージは全員が均一に受けた方が効率よく戦えるのです。

 そこで敵の集中を受けてダメージを受けた仲間をかばうという行動が必要になります。やり方としては、味方を狙っている敵の射線を塞ぐように、味方の前に出てやります。上手く射線を遮ることが出来れば、味方への集中が切れ、自分がダメージを受けます。

 これによる効果は2つあります。ひとつは誰でも分かるように、「かばった味方がシールドを回復できること」です。シールドを回復して再び戦線に復帰してくれれば、死んだ仲間が生き返ったも同然です。もちろんカバーしたあとに集中を受けている仲間を助けることも可能です。これによってチーム全体のシールド回復両を大幅に増やすことが出来るのです。

・カバーする側
 2つ目は、実際に綺麗なカバーをされると感じることですが、集中の射線が切られるため、次の目標を選ぶのに一瞬なりとも手間取ってしまうのです。これはかなり重要で、ここで上手く切り替えが出来ないと、味方がカバーした戦車を撃ったり、逃げた戦車を撃ったりと、集中がばらけてしまうこともあります。これが不利であることはもはや言うまでもないでしょう。

 実戦では、カバーする側とされる側の呼吸が合うことが必須です。集中を受けたら味方がいる方に下がり、それを見た味方は速やかにその前に戦車を出します。戦車の出し方は、なるべく敵から見た面積が広いように、車体を真横にして出すのが基本です。横にしていれば、それだけ敵から集中をしていた戦車が見えにくくなりますし、自分がそこから逃げるときの動きも楽になります。横に障害物でもあれば、ある程度カバーした後にそのまま障害物に隠れる、といった行動もできます。カバーする側もされる側も、味方の位置と状態をよく把握し、臨機応変に動くことが必要になります。カバーを期待して下がり気味に動いたら、後ろの味方も一緒に下がったとか、カバーをしに前に出たら、集中されている味方も前に出てしまってカバーできないとか、そういうことをなるべく減らせるように動きましょう。

 さらに上級のカバーを目指すならば、その一瞬の集中を切るだけではなく、後ろに回り込もうとする敵を塞ぐ動きを覚えなくてはなりません。敵の動き、砲塔の向き、仲間の移動していった方向、車体の向き、レーダー、それらをフルに動員して、カバーした味方と敵の間に常に入る動きを心がけます。

・カバーされる側
 カバーされる側の動きとしては、基本的に撃ちながら真後ろに下がる感じです。後ろを向いて走った方が早いように感じますが、回頭のために大幅に時間をロスし、その間にやられてしまうこともあります。さらに攻撃力が0になってしまうので、敵は喜んでつっこんできます。正面を向いて撃っていれば、カバーに来た味方とともに敵を撃つことで、敵を下がらせることもできるかもしれません。

 味方がやってきて自分がカバーされたら、無理に前に出ず、素直にシールドの回復につとめます。せっかくカバーしてくれたのに、自分から前に出て殺されては意味がありません。状況を見て、カバーしてくれている味方が危ないと思えば、カバーから出て再び集中に参加しましょう。カバーされることは悪くありません。むしろカバーに来てくれたことに気づかずに死んでしまった場合、カバーされない方に問題があると言っていいほどです。

 さらにカバーされた側の基本として、カバーした仲間を必ず助けるということです。カバーされたはいいですが、そのまま自分が逃げては、味方が集中を受けてそのままやられてしまう可能性が高いからです。せっかく助けに行ったのに、助けた方だけが死んで終わりでは、カバーする気も起こらなくなってしまいます。

 カバーは集中のまっただ中に車体を押し出すわけですから、かなり勇気のいる行動です。しかし成功したときの効果は絶大で、目に見える効果だけではなく、チームに精神的なプラス効果を与えるでしょう。たとえ失敗して全滅してしまったとしても、カバーされた味方はきっとその行動に感謝してくれるでしょう。もしカバーされたら、成功失敗に関わらず、「カバーthx」とチャットに返しておくと、チームの雰囲気もぐっと良くなると思います。最初はそうそう上手く行くものではありません。「味方の代わりに自分が死んでやる」くらいの気持ちで、ひたすらカバーの練習を重ねましょう。カバーした後にカバーし返してくれるというシチュエーションを体験すれば、いかにカバーが大切な技術であるかが心の底から実感できると確信しています。


・集中とカバーのジレンマ
 集中とカバーを数多くこなしていれば、あるひとつの問題に気づくと思います。大抵の場合、カバーをすると味方が攻撃出来なくなるため、集中が切れてしまうのです。ですから味方のシールドにまだ大きく余裕があり、すぐにカバーが必要ないと判断できれば、むしろ集中をしっかり行って敵を早く倒した方が良い場合もあります。

 例えば2:1の場合、とにかく一度カバーに入ってやるのが基本です。味方が大きくダメージを受けている可能性もあるので、まずはダメージのない自分がダメージを肩代わりしてやり、味方より敵が不利になったときに射線を開ける、といった感じです。 逆に2:3の場合、逃げる手だてがないとしたら、いっそカバーしないで集中に専念するという方法もあります。自分がノーダメージであれば軽くカバーしてやるのもいいでしょうが、もはや二人ともが死んでしまうという状況ならば、せめて敵1機を破壊する、という考え方もあります。この辺りはその状況と経験で判断するしかないでしょう。

 上で大抵の場合と書きましたが、例外的に(と言っても意外にこの状況は多いのですが)カバーしながら集中できるシチュエーションがあります。2:2での戦闘時、上手くやればカバーと集中が同時にこなせるのです。ここは絵図で示してみることにします。自機が●、味方が○、敵が□、矢印は砲塔の向きとして見てください。

 ○→ ←□ ←● ←□

 敵を集中しつつ、敵の攻撃を分散できています。敵が2機、仲間を追いかけているときなどに、敵の間に割ってはいるという感じでしょうか。割り込んだ後の移動方向は、後ろから自分を撃っている敵に味方を撃たせないようにカバーして動きます。自分の前にいる敵は、さらに前にいる味方が弱っていますから、それを倒そうと必死になるでしょう。万が一気づいて振り返ったとしても、自分はダメージをそれほど受けていませんし、味方と集中も出来るために有利になります。味方がやられてしまっても、自分が上手く立ち回れば敵1機を倒すことくらいは出来るでしょう。

 しかしこの動きも状況によります。例えばさらに味方の援護がある場合、素直に1機目の敵と味方の間に割り込んだ方が良い場合もあります。自分が味方をカバーしつつ、前の敵を2人で集中し、さらに復帰した仲間で3:2の戦闘をすることが出来ます。もし図のような動きをしたとなると、味方がやられる可能性は格段に上がります。しかし敵に後方から援護がいる場合は、この間に入る戦術もありでしょう。上手くやれば2:1の状況を3つ作ることもできます。この辺りの判断は微妙で、どれが最良かはやってみないことには分かりません。


・練習方法
 カバーの練習方法は、2on2の対戦がベターです。やってみると分かりますが、最初に撃たれた仲間をカバーできないと、あっさりやられてしまいます。2on2でも、実戦で使われるカバーの動きはかなり含んでいます。慣れないうちは、誰から撃たれるか、誰から撃つかを決めておいて、カバーをする側、される側を意識した練習をするのも効果的だと思います。