「岩田さん」の本は、漫画と同じくらい気楽に読んでほしい


「岩田さん」の本をを読みました。岩田さんというのは、任天堂の社長であった岩田聡氏のことで、42歳という若さで世界的大企業の社長に抜擢された人物ですが、社長在職中の2015年に亡くなりました。

この本、岩田さんが生前に交流が深かった、糸井重里さんを始めとした「ほぼ日」の人が「岩田さんってこんなことを言っていたなあ」と思いだして書いた話だと思っていたんですが、過去に「ほぼ日」や「社長が訊く」で書かれた岩田さん自身の話を抜粋した内容で、岩田さんが自らこの本を書いたかのような回想録風の内容です。

本文の中で、「岩田さんはこの本を出すことに賛成しないんじゃないか」みたいなことが書かれていましたが、読み終えてみて、確かにそうだろうなあという内容でした。言ってしまえば、岩田さん本人が語ったことがまとめられているだけなので、これにGOを出す岩田さんじゃないだろうなと私も思います。

「社長が訊く」を1つも余さず読んできたような任天堂あるいは岩田さんのファンの方は、これを読んでも新鮮さはないと思います。でも「そんな話もあったなあ」と思いだして楽しめるとは思います。また後半にある、任天堂の宮本茂氏が岩田さんを思い出して語るところだけでも、任天堂ファンには十分な価値があります。

岩田さんという人、任天堂という会社は知っているけれど、そこまで詳しくないという方は、岩田さんという面白いキャラクターを楽しめる本だと思います。ずっと笑顔で喋っているんだろうなあ、という明るい雰囲気が端々から垣間見えて、読んでいる方も気分が明るくなってきます。

もし岩田さんを知らないし、任天堂という会社にもこれまで興味がなく、ただ「大企業の社長にノウハウを学びたい」とか思って読むと、的外れに感じると思います。岩田さんの考え方は書かれているので何かしら参考にはなるかもしれませんが、経営学を学ぶとか、自己啓発を促すために読むような内容ではなく、あくまでエンターテイメントとして楽しんだ方がいい本だと思います。

だから、世の役に立つような内容が書かれているわけではない、……と否定しているのではありません。岩田さんという人が、人をハッピーにすることを考えてきた人だという、その岩田さんの人柄が正しく表現された本だと思います。そういう生き方があるんだということを感じ取れれば、それでいい本だと思います。

なので、岩田さんを、任天堂を知っているとか、経営がどうだとか考えずに、ギャグ漫画を読むくらいの気楽な気分で、誰にでも手に取ってもらえればと思います。中学生なら十分読める内容だと思いますし、岩田さんの生き方、考え方が書かれたこの本は、これから進路を考える若い方にも読んでもらいたいです。

https://www.1101.com/books/iwatasan/

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