長らくお休みしていた秋葉原パーツショップ巡りを久々に敢行。サーバマシンのSSDが64GBしかなく、Win10に移行が難しくなったので、その市場調査が主な目的。
SSDを眺めていると、安価な製品の中に聞きなれないブランドや、聞きなれているけれど妙だなというものがちらほらあったので、事情を調べてみた。
・Lexer
Lexer、レキサー・メディアと言えば、SDカードが登場する以前はフラッシュメモリの主流だったコンパクトフラッシュ(CF)の旗振り役、かつ高性能な製品を出し続けるCF界最後の砦となる(のかどうかは知らないけれど、そういうイメージを抱かせる)世界的なブランド。
そのLexerブランドを冠したSSDが売られていることは別におかしなことではないけれど、そのブランドイメージの割に価格が安い。謎の中華ブランドと競うくらいの最低水準価格になっている。
調べてみると、2006年にMicron傘下になった後、2017年にMicronがブランドを手放し、中国Longsysが取得している。
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/column/1155840.html
ゆえに安い、というのは短絡的過ぎるかもしれない。ただLexerブランドのSSDというのは以前は見たことがなかったので、これは設計から製造まで全て中国という製品にLexerブランドを貼り付けて売っているだけなのでは……と想像してしまう。もうちょっと高かったら安心して買えるのに、と変な気分になる。
・HP
HPと言えば、世界一のPCメーカーであるヒューレット・パッカード……というのがもう間違っていた。2014年段階で会社が分割されていて、コンシューマー向けPC製品はヒューレット・パッカードではなく「HP」が正式名称のよう。
何にせよ、今も世界有数のPCメーカーであるHPブランドのSSDが、なぜか秋葉原のHPとは直接関係ないパーツショップで単品で売られている。こういうメーカー製のパーツは、稀にショップに流れて少量売られることはあるけれど、結構あちこちの店で普通に売られているので、特例という感じはしない。しかも価格が異様に安く、やはり最低水準に近い。
調べてみると、2018年からHPブランドのSSDが単品で流通していて、日本国内ではプリンストンが販売している。プリンストンといえば、自社ブランドと同時にKingston製のメモリ製品を取り扱う会社で、PCの周辺機器では昔から知られている。安価な製品が多いので、PCも激安なHPのSSDだと思えば安いのも納得。
HPにSSD製品のブランド力はないし、安価なPCメーカーのイメージからすると品質に期待するほどではないにせよ、出所不明の有象無象な製品に比べれば十分安心できる。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1145940.html
・KLEVV
実はこれは知っていた。世界的な半導体メーカーのSK Hynixを有する韓国SKで、コンシューマー向けのメモリ関連製品を取り扱うESSENCOREのブランド。
Hynixという名前にピンと来ない人は多いかもしれないけれど、古くからPC向けのDRAMチップを生産していて、今も昔も地味に世界有数のメーカーで、かつ比較的安価。相性問題が出やすかった昔の自作PCにおいても、あまり問題が聞かれなかったという地味なイメージがあって、個人的にも地味にお気に入り。一時、Hynixブランドで売られたSSDも1つ買ったくらい。
このKLEVVブランドのSSDもまたずいぶん安い。日本での知名度という点では有象無象のメーカーに含まれかねない程度ながら、実際の素性はしっかりしているし、上の記事によると生産は韓国と台湾とのことなので安心度も高い。かなりお買い得なブランドだと思う。嫌韓でなければ。
・SSDの製品選びは慎重にしたい
他にもポーランドから来たGOODRAMなんかも気になってものの、もう店頭で見かけなくなっていした。登場したころは確かに安いと思ったのに、市場価格の急激な下落とブランドの浸透のタイミングが合わなかったのかも。
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/sp/1111848.html
SSDは昨年、チップのリマーク(要は偽物)が大きな話題になり、適当な製品を選ぶとえらい目に遭うと知れ渡った。他にもSDカードの偽ブランド品が横行しているという話もあり、安価なフラッシュメモリ製品には常に偽物・粗悪品のリスクがある。
https://btopc.jp/repair/black-colorful-ssd.html
HDDはそもそもの製造が難しく、大手の製品しか市場にないので安心できるが、謎のメーカーが頻出するSSDはそうもいかない。その上、「じゃあどの製品なら安心なんだ?」という基準がとても難しい。日本法人がある大手メーカーの製品でもパッケージごとコピーされた偽物がないとは言えないし、本物であっても相当安価な製品もある。
個人的には、チップメーカーが自社ブランドで出している製品が一番安心で、IntelやMicron(Crucialブランド)、Samsungは定番。最近だとWestern DigitalやSeagateといったHDDメーカーのSSDも出していて、長年のサポート実績と生産量を考えると安心度が高い。
あとはPCパーツメーカーが発売するゲーミング向けの製品もいいと思う。高性能を保証するために、通常の製品より設計はしっかりしているはずだし、ブランド力の確保のためにサポートも良いはず。ただし価格は上がる。
それ以外の製品であれば、せめて日本代理店が売っているもの。それで粗悪品がないとは言わないが、最低限のサポートは受けられるはず。聞きなれないブランドで、日本語が書かれていない海外製パッケージなら、何が当たっても文句は言わないつもりで買う方がいい。
無数のメーカーと製品があるSSDは、製品選びが難しいという一面はあれども、大手メーカーも競い合って販売しているおかげで、謎ブランドの激安製品ともさほど大きな価格差がない。もし知り合いが「何でもいいからSSDが欲しい」と言ったら、やはりチップメーカーの製品を勧める。
そして何より大事なのは、実店舗のあるちゃんとした店で買うこと。通販でも構わないけれど、Amazonマーケットプレイスに出している謎の商店から買うと、偽物が来ないとも限らない。信頼できる製品選びと、信頼できる店選びができれば、そう変なものをつかまされることはないと思う。