第3回は、ライターになるために必要になる、書く力を身につけるための訓練方法をご紹介します。まず答えから申し上げますと、「SNSなど友達が見ているところで日記を書く」です。基本的にはそれだけです。
この訓練の狙いは大きく分けて3つあります。1つは、純粋な文章力を鍛えること。上手に書くには、いっぱい書いてみないことには始まりません。そのうち、こう書けばいいのかな、という自分なりのスタンスができてきます。また書き慣れることも大事で、自分の考えたことをすぐに文章化するというスピードも、とにかく書いて慣れなければ身につきません。
2つ目は、構成力や発想力を養うこと。日記ですから毎日書かねばなりませんが、コレといって特筆する出来事がない日もあります。それでも毎日書くのです。また他人に見せるものですから、「今日は特になし、終わり」ではいけません。ないなりに何か考えて、他人が読むものを作るのです。
実際、何もない1日なんてのはありません。毎日同じような飯を食っているとか、毎日同じところを歩いているとかでも、それは自分にとっての日常であり、その日記を読む他人にとっては日常ではありませんから、その日常を書くだけでも意外と読めるものになったりします。これは日記を長く続けるコツ、って感じですね。
そして3つ目は、他人の評価を得ることです。誰にも見せない日記を書いていても上の2つのことは見につくかもしれませんが、SNSなどで友人が気軽にコメントを寄せられるところで毎日書くことに、この訓練の意味があります。
例えば、ある日はとても面白い出来事があり、それを日記に書いたとしましょう。その内容が他の人からも共感を得られれば、その日記にコメントしてくれる友達がいるはずです。しかし、コメントがなかったり、そもそも誰も読んでくれなかったりということがあります。自分にとっては面白い出来事だったのに、なぜ見てもらえないのか、コメントをもらえないのか……。
思ったより読んでもらえないとか、反応がないというのは、日記に何かしらの問題があるのです。タイトルが印象的でなければ見てもらえませんし、序盤から訳のわからない話やつまらない説明が続いたら、面倒になって読むのを止めてしまいます。最後まで読んだところで、「ふーん」と思うだけで特にコメントすることがない、ということもあるでしょう。でもそれではいけません。他人に見せているのですから、もっと面白く、興味を引き、思わずコメントしたくなるような楽しいものにしたいのです。
それを考えることが、とても重要なのです。なぜならこれは、プロのライターになった時には、常に考えなければならないことだからです。ものすごく興味深い素材があり、それを記事にしたのに、誰にも読んでもらえないとすれば、それはライターの力量不足です。
しかし逆に、何てことのない話題を、うまいキャッチコピー、ユニークな切り口、軽快な文章によって、楽しい読み物に仕立て上げることができれば、それはライターの力です。そして当然、現場ではそういう力のある人が求められます。
SNSはそういう感覚を身近なところで訓練できる、とても貴重な場なのです。友達であれば共感も得やすいし、コメントも気軽に寄せてくれるはずです。もし日記にコメントが寄せられなければ俺の負け! くらいの気持ちで毎日続けていれば、自然と力もついていくと思います。
プロになってメディアに記事が掲載されても、読者様からの反応は極めて薄いです。どこの誰とも知らない奴の記事にコメントするほど読者様は暇じゃないですし、周囲には歴戦のプロ達が書いたステキな記事が山ほどあるんですから、そこの中で目に留めてもらえるものを書くのは尋常なことではありません。
ちなみに私は、この公開日記をライターを始める以前からスタートし、7年ほど1日も欠かさずに続けました。遡って見るごとに内容がどんどん酷くなっていき、3年も戻れば「こんなもんをしたり顔で公開してたんかよ俺……」と恥ずかしくて悶絶できます。その感覚が、成長の証なんです。
敢えてコメントしない!