地上デジタル放送では、1つのチャンネルで異なる2~3番組を放送できる、というのはご存知でしょうか。総務省のホームページにある地デジの特徴についての説明に、 「1チャンネルを分割して2~3番組の同時放送も可能」と書いてあります。これってどういうことでしょうか?
技術的にまとめて言うと、地デジの電波で1つのHD映像を送る代わりに、それと同程度に収まるデータ量になる2~3のSD映像を送れるというものです。というだけでは難しいと思うので、もうちょっとわかりやすく説明します。
地デジの放送は、PCなどで扱われるものと同じ、デジタルデータとして送られています。地デジの映像は、放送局でデジタルデータに変換され、それが電波に乗って各家庭に届き、テレビで再び映像化されることで視聴できます。
この地デジでは、1つのチャンネルごとに、送信できる電波の幅(=送れるデータの量)が決まっています。この電波の幅を「セグメント」と呼んでおり、1チャンネルごとに13のセグメントが割り当てられています。
このうち1セグメントは、携帯電話などで見られる「ワンセグ放送」に使われています。13セグメントのうちの1セグメントだけを使って放送しているから、ワンセグメント、略してワンセグというわけです。ワンセグの画質が悪いのは、データを送る幅が1セグメントしか使えず、多くのデータを送れないからです。
残り12セグメントは、地デジのメイン放送に使われています。この12セグメントをいっぱいに使うと、高画質なハイビジョン放送を送れます。これが現在一般的に見られている地デジの放送です。
この12セグメントは、「必ずハイビジョン放送を流しなさい」とは決められていません。ハイビジョンではない、従来のアナログ放送レベルの映像(SD)を送信してもかまいません。SDの映像は、ハイビジョンに比べて少ないデータ量で送信できます。よって12セグメントも使わなくても、4セグメントくらいあれば1番組を送信できてしまいます。
そして残りの8セグメントは、さらに別のSD映像を送信してもいいわけです。これによって地デジでは、1つのチャンネルで2~3のSD番組を放送できるようになっています。これを「マルチチャンネル」と呼んでいます。
具体的な例としては、NHKのEテレで、異なる2つの教養番組が同時に放送されている時間があります。また昨日は震災から1年の節目という特別な日だったこともあってか、ラグビーの準決勝2試合がマルチチャンネルで同時放送されていました。
マルチチャンネルの視聴方法はお使いのテレビによって異なるかと思いますが、我が家で使っているREGZA Z1では、視聴中のチャンネルと同じチャンネルをリモコンでもう1度押すと、マルチチャンネルの2番目の番組に移ります。
ある意味、裏番組のような存在のマルチチャンネルですが、それだけに専門的なジャンルの放送も多く流れています。いつものハイビジョンより画質が悪いぞ? と思うチャンネルがあったら、他のチャンネルに変える前に、マルチチャンネルがないかチェックしてみてください。意外と面白い番組に当たるかもしれません。
丁度、知りたい内容がばっちり説明されていて、大変、助かりました。