ドキュメンタリーと報道は似ているようで違います


業界騒然! 東海地方限定番組「さよならテレビ」は何がすごいのか?東海テレビが東海テレビを描く「問題作」ドキュメンタリー

業界騒然!という週刊誌的イラッ系キャッチはともかく、中身は面白いです。

こういう内部告発的なものは「自分の居場所を正したい!」という正義心を、判官贔屓が大好きな世論という外圧を使って正当化したものです。さらに、より上の立場の人間からすれば「内部にたとえ強き悪があっても、輝かしき弱い善もあり、自ら内情をさらけ出せば世の同情を買えてポジティブに見てもらえる」というスケベ心があるから放送が許されているわけで、感動ポルノの手法と大して変わらないと思います。

だからこういうのがウケるのは至極当然なんですが、これはドキュメンタリーであっても、エンターテイメントの枠から出ません。ある事象を特定の視点からだけ切り取ったものは、断じて報道ではなく、事実であっても読み取れる情報の指向が偏りすぎています。

事実を伝える報道としてやりたいなら、強き悪にもきちんと密着レポートしてもらいたいものですが、これはそういうことを意図した報道番組ではないので、怒るのは筋違い。ただただ、視聴者の方々が「これが唯一の真実だ!」と信じ込まないことを祈るだけです。今回に限らず、あらゆるニュースやドキュメンタリーでそうあるべきだと思っています。

「報道に関わる人間が何を言ってるんだ? だったら真実を全て伝えろよ」と言われそうですが、当事者、関係者に全て話を聞くのは困難ですし、それらを一字一句漏らさず伝えたらとんでもない量になるし、そもそもどこからどこまでを語れば”全て”と言っていいかは人それぞれに基準が違います。ですから膨大な情報を適切にフィルタリングして大事なことを伝えるのも報道の役割だと思っています。だからこそ、気になる情報は1つのソースを信じ込まず、複数のソースに当たって欲しいと思います。ニュースは常に「本当に?」と疑うくらいがちょうどいいです。

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